抗がん剤治療にかかる費用(薬剤費)

基本的に日々の業務の中での覚え書きになります。がん薬物療法における安全性や薬剤費(薬価)の概算などを中心に記載していますが、抗がん剤治療を受けている患者さまの経済的不安の解消につながれば幸いです。

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--.--.-- --:-- | スポンサー広告 | トラックバック(-) | コメント(-) |
切除不能膵癌に対して、ジェムザール(GEM)が5-FUより優れていることが証明されて以来、プラチナ系抗癌剤、フッ化ピリミジン系抗癌剤、分子標的薬などとの併用を検討されたが、いずれもGEM単剤に対して全生存期間(OS)の上乗せ効果がなかった。

しかし、最近、GEM単剤に対し、エルロチニブ(タルセバ)を併用することによって、生存期間の上乗せ効果が証明された。ただ、その結果は、有意差(p=0.038)は得られたものの、生存曲線の差は極めて小さく、生存期間中央値(MST)はわずか10日の差しかなかった。そのため、今のところ、標準治療にしても良いという結論には至っていない。


ここでGEM単独、GEM/エルロチニブ併用療法の薬剤費を計算し比較する。
今回も、身長170cm、体重60kg、体表面積1.65㎡の患者を想定して算出する。

GEM単独療法
GEM 1000mg/㎡ day 1、8、15(4週毎)
ジェムザール 1000mg/㎡×1.65㎡=1650mg
20,717円(1g/V)×1+4,437円(200mg/V)×4=38,465円
38,465円×3回=115,395円(1サイクル)×6=692,370円(6ヵ月)
GEM単独療法は、6ヵ月約70万円必要である。


GEM/エルロチニブ併用療法
先ほどのGEM単剤療法に、以下のタルセバの薬剤費を追加する。
タルセバ錠100mg 100mg/body/day
7070.5円(100mg/錠)/day×30=212,115円/month×6=1,272,690円(6ヵ月)
タルセバの薬剤費だけで、6ヵ月約130万円必要である。
つまり、GEM/エルロチニブ併用療法は6ヵ月約200万円必要である。

以上の結果を踏まえて個人的な見解ではあるが、わずか10日間の生存期間延長のために、これだけの医療費がかかるのは如何なものかと思われる。さらに、エルロチニブは重篤な皮膚障害や間質性肺炎の副作用があり、GEM単剤に比べ、食欲不振や下痢、骨髄抑制などの有害事象も強く出現する。

臨床試験の結果だけに拘らず、患者の経済的な負担なども考慮するとGEM単剤療法の方が良いと言うこともあると思われる。どうでしょう...?












管理者にだけ表示

トラックバックURL↓
http://surveillance.blog85.fc2.com/tb.php/55-f6a7b6f4

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。