抗がん剤治療にかかる費用(薬剤費)

基本的に日々の業務の中での覚え書きになります。がん薬物療法における安全性や薬剤費(薬価)の概算などを中心に記載していますが、抗がん剤治療を受けている患者さまの経済的不安の解消につながれば幸いです。

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抗HER2モノクローナル抗体製剤のハーセプチン(トラスツズマブ)は、HER2過剰発現が確認された乳がんにおける術前補助化学療法として効能/効果の追加、およびHER2過剰発現が確認された転移性乳がんにおける3週間1回投与の用法/用量の追加で公知申請されました。

※公知申請(こうちしんせい)とは、承認済医薬品の適応外処方について科学的根拠に基づいて医学薬学上公知であると認められる場合に、臨床試験の全部または一部を新たに実施することなく効能または効果等の承認が可能となる制度です。

これにより、現在、転移性乳がんにより治療をされている患者でHER2陽性の場合は、毎週ハーセプチンの投与を行うために病院へ出向いている訳ですが、今後は3週間に1回でよいことになります。
今回の申請による解釈では、ハーセプチン単独療法という訳ではなく、その他の抗がん剤との併用療法でも適応になります。そのため、併用している薬剤が毎週投与であれば、ハーセプチン3週毎投与の恩恵が受けられません。パクリタキセルの毎週投与法やビノレルビンの2週投与ではなく、パクリタキセルやドセタキセルの3週投与と組み合わせるレジメンの方が今回の公知申請の恩恵を受けることができます。


トラスツズマブを3週間間隔で投与する場合、初回投与時は8mg/kg、2回目以後は6mg/kgで点滴静注します。また、毎週投与する場合は、初回投与時は4mg/kg、2回目以後は2mg/kgを点滴静注します。よって、初回投与時を除いて考えると、単純に3倍となる(2mg/kg×3→6mg/kg)ため薬剤費は変わりません。変わらないはずです...

ハーセプチンは150mg製剤60mg製剤があるので、体重により若干誤差が出るかもしれないので、今回も身長155cm、体重50kg、体表面積1.42㎡の女性を想定して薬剤費を計算しておきたいと思います。

ハーセプチン3週毎投与:6mg/kg×50kg=300mg
56,110円(150mg/V)×2=112,220円

毎週投与:2mg/kg×50kg=100mg
23,992円(150mg/V)×2=47,984円×3週=143,952円

やはり誤差(損)が発生してしまいましたね。毎週投与では20mgが残液廃棄分として請求されてしまったり、60mg製剤の方が割高であることが原因です。3週間で143,952円-112,220円=31,732円ですから、1年間に換算すると約55万円の損をしてしまいます。

ただ、今回の場合(50kg)は毎週投与の方が不利になりましたが、55kgでは3週毎投与の方で残液が多く発生するので、どちらが良いかは一概に言えません。むしろライフスタイルに合わせた投与方法を選択する方が、お金に換えがたい生活の質を向上させてくれるのではないでしょうか?














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