抗がん剤治療にかかる費用(薬剤費)

基本的に日々の業務の中での覚え書きになります。がん薬物療法における安全性や薬剤費(薬価)の概算などを中心に記載していますが、抗がん剤治療を受けている患者さまの経済的不安の解消につながれば幸いです。

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初期乳がんの術後補助化学療法として、タキソテール(ドセタキセル)とエンドキサン(シクロホスファミド)を投与(TC療法)すると、標準的な化学療法であるアンスラサイクリン系抗がん剤アドリアシン(ドキソルビシン)とエンドキサン(シクロホスファミド)を投与(AC療法)した場合に比べて、全生存率を改善できることが明らかになりました。

TC療法群は、
タキソテール 75mg/㎡、エンドキサン 600mg/㎡ を21日おきに4回投与。
AC療法群は、
アドリアシン 60mg/㎡、エンドキサン 600mg/㎡ を21日おきに4回投与。

TC.jpg今回は、身長155cm、体重50kg、体表面積1.42㎡の女性を想定し、薬剤費を考えてみたいと思います。

TC療法
タキソテール 75mg/㎡×1.42㎡=106.5mg
67,304円(80mg/V)×1+19,660円(20mg/V)×2=106,624円
エンドキサン 600mg/㎡×1.42㎡=852mg
871円(500mg/V)×1+221円(100mg/V)×4=1,755円
→106,624円+1,755円=108,379円×4回=433,516円(約43万円

AC療法
アドリアシン 60mg/㎡×1.42㎡=85.2mg
2,326円(10mg/V)×9=20,934円
エンドキサン 600mg/㎡×1.42㎡=852mg
871円(500mg/V)×1+221円(100mg/V)×4=1,755円
→20,934円+1,755円=22,689円×4回=90,756円(約9万円

以上のように、TC療法とAC療法の薬剤費を計算しますとTC療法が全4コースで約43万円、AC療法が全4コースで約9万円となり、効果が同等であるならばAC療法の方が安上がりである訳ですが、一般的に乳がん術後補助化学療法では、AC療法4コースの後にパクリタキセル 175mg/㎡を全4コース行わなければなりません。(AC followed by PTX)

パクリタキセル 175mg/㎡×1.42㎡=248.5mg
25,543円(100mg/V)×2+8,644円(30mg/V)×2=68,374円×4コース=273,496円(約27万円
(現在、パクリタキセルは後発品が発売されているため、かなり薬価が下がりました)

よって、AC followed by PTXは、約9万円+約27万円=約36万円になります。パクリタキセルも後発品が発売される前は、同様に薬剤費を計算すると約47万円ほどになり、それだけでもTC療法の薬剤費を上回っていた訳ですが、後発品が発売されるようになってからは、ずいぶん薬価を抑えられるようになりました。

そうなりますと、TC療法(約43万円)とAC療法 followed by PTX(約36万円)では、効果が同等であるならば、TC療法のメリットは全4回で治療が済んでしまうと言うことしかないような気がしてきました...












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