抗がん剤治療にかかる費用(薬剤費)

基本的に日々の業務の中での覚え書きになります。がん薬物療法における安全性や薬剤費(薬価)の概算などを中心に記載していますが、抗がん剤治療を受けている患者さまの経済的不安の解消につながれば幸いです。

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今年の春、抗悪性腫瘍剤のパニツムマブ(ベクティビックス点滴静注100mg)が発売された。適応は、「KRAS遺伝子野生型の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」であり、用法・用量は「成人に2週間に1回6mg/㎏を60分以上かけて点滴静注」となっている。

今回、製造承認されたパニツムマブは、セツキシマブ(アービタックス)と同じ抗EGFRモノクローナル抗体製剤であり、抗EGFRモノクローナル抗体製剤としては2成分目となる。パニツムマブは、セツキシマブがマウス抗体を一部使用したキメラ型モノクローナル抗体であるのに対し、EGFRへの親和性が高い完全ヒト型モノクローナル抗体である点が大きな特徴である。

パニツムマブは、国内外の臨床試験結果で、KRAS遺伝子の野生型患者の治癒切除不能な進行・再発の結腸癌・直腸癌に対して、他の化学療法(FOLFOXFOLFIRIなど)との併用(一次、二次治療)や単独投与(三次治療)で有用性が認められている。


【副作用等発現状況】
<併用投与時>(FOLFIRI又はFOLFOX4との併用)
本剤と化学療法との併用による国際共同試験(FOLFIRI併用302例、日本を含む)及び海外臨床試験(FOLFOX4併用322例)において、本剤が併用投与されたKRAS遺伝子野生型の転移性結腸・直腸癌患者624例中620例(99%)に副作用が認められた。主な副作用(20%以上)は、下痢371例(59%)、発疹332例(53%)、好中球減少症301例(48%)、悪心274例(44%)、疲労196例(31%)、ざ瘡様皮膚炎186例(30%)、食欲不振160例(26%)、低マグネシウム血症156例(25%)、口内炎152例(24%)、嘔吐146例(23%)、粘膜の炎症141例(23%)、皮膚乾燥122例(20%)、そう痒122例(20%)であった。

<単独投与時>
国内の臨床試験(第1相臨床試験13例、第2相臨床試験52例)において、本剤が単独投与された転移性結腸・直腸癌患者65例中64例(98%)に副作用が認められた。主な副作用(20%以上)は、ざ瘡42例(65%)、皮膚乾燥39例(60%)、発疹36例(55%)、そう痒27例(42%)、爪囲炎23例(35%)、低マグネシウム血症18例(28%)、疲労17例(26%)、口内炎16例(25%)、食欲不振13例(20%)であった。海外臨床試験では,本剤が単独投与された転移性結腸・直腸癌患者987例中925例(94%)に副作用が認められた。主な副作用(20%以上)は,ざ瘡様皮膚炎526例(53%)、そう痒521例(53%)、紅斑519例(53%)、発疹359例(36%)であった。


【薬剤費の計算】
ベクティビックス点滴静注100mgの薬価は、75,567円/1瓶になりました。
今回は、身長170cm、体重60kg、体表面積1.65㎡の患者を想定して計算します。

ベクティビックスまず、単剤療法の場合は... 
→ 60kg×6mg/㎏=360mg 
→ 75,567円×4瓶=302,268円
1回あたりの治療費は、約30万円。3割負担で約9万円です。これを隔週で投与していきます。

では、併用療法の場合、この単剤療法の治療費にFOLFOX、FOLFIRIの治療費が上乗せされます。実は3年前にも計算しているんですが、その後、薬価が改定されているので今回再び計算してみたいと思います。

<FOLFIRI療法>
CPT‐11 180mg/㎡ day 1 (2週ごと) 
l‐LV 200mg/㎡ day 1 (2週ごと)
5‐FU 400mg/㎡ day 1 (2週ごと)
5‐FU(持続静注) 2400mg/㎡ day 1 (2週ごと)

CPT‐11(カンプト) 180mg/㎡×1.65㎡=297mg
14,895円(100mg/V)×3=44,685円
l‐LV(レボホリナート) 200mg/㎡×1.65㎡=330mg
6,071円(100mg/V)×3+1,755円(25mg/V)×2=21,723円
5‐FU 400mg/㎡×1.65㎡=660mg  
394円(250mg/A)×3=1,182円
5‐FU(持続静注) 2400mg/㎡×1.65㎡=3960mg  
394円(250mg/A)×16=6,304円

カンプトよって1回の投与に73,894円かかります。3年前(116,701円)と比べて37%薬価が下がりました。
ベクティビックスとFOLFIRI療法の併用では、薬価で約37万5千円で、3割負担で約11万円でした。

<mFOLFOX6療法>
L‐OHP 85mg/㎡ day 1 (2週ごと)
l‐LV 200mg/㎡ day 1 (2週ごと)
5‐FU 400mg/㎡ day 1 (2週ごと)
5‐FU(持続静注) 2400mg/㎡ day 1 (2週ごと)

L‐OHP(エルプラット) 85mg/㎡×1.65㎡=140.25mg
70,284円(100mg/V)×1+38,142円(50mg/V)×1=108,426円
l‐LV(レボホリナート) 200mg/㎡×1.65㎡=330mg
6,071円(100mg/V)×3+1,755円(25mg/V)×2=21,723円
5‐FU 400mg/㎡×1.65㎡=660mg  
394円(250mg/A)×3=1,182円
5‐FU(持続静注) 2400mg/㎡×1.65㎡=3960mg  
394円(250mg/A)×16=6,304円

エルプラットよって1回の投与に137,635円かかります。3年前(194,077円)と比べて29%薬価が下がりました。
ベクティビックスとmFOLFOX6療法の併用では、薬価で約44万円で、3割負担で約13万円でした。

いずれの療法も薬価が30%近く下がり、3年前に比べると治療しやすいお値段になりました。しかし、ベクティビックスと併用することにより再び治療費がはね上がってしまいました。どちらも投与1回分の治療費なので月あたりに換算すると単純に倍になります。1回分だけでも高額医療の対象に十分なりますので、早めの申請をお薦めします。












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