抗がん剤治療にかかる費用(薬剤費)

基本的に日々の業務の中での覚え書きになります。がん薬物療法における安全性や薬剤費(薬価)の概算などを中心に記載していますが、抗がん剤治療を受けている患者さまの経済的不安の解消につながれば幸いです。

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ネクサバールは、腫瘍の細胞増殖を抑制し血管新生を阻害する、根治切除不能又は転移性の腎細胞癌・切除不能な肝細胞癌を適応とした世界初の経口キナーゼ阻害剤である。細胞増殖に関わるシグナル伝達経路であるRaf/MEK/ERK 経路を構成するC-Raf 及びB-Raf のセリン・スレオニンキナーゼ活性の阻害、及び腫瘍の増殖及び転移に必要とされる血管新生に関わる受容体型チロシンキナーゼ(RTK)であるVEGFR 及びPDGFR のチロシンキナーゼ活性を阻害する。加えて、腫瘍進行・予後に関与するRTK であるFLT-3 やc-KIT も本剤は阻害する。


【効能効果】
当初、根治切除不能又は転移性の腎細胞がんだけだったが、切除不能な肝細胞がんにも適応が通った。

特に肝細胞がんに対しては以下のように記載されているので要注意!
①局所療法(経皮的エタノール注入療法,ラジオ波熱凝固療法,マイクロ波凝固療法,肝動脈塞栓療法/肝動脈化学塞栓療法,放射線療法等)の適応となる肝細胞癌患者に対する本剤の有効性及び安全性は確立していない。
②肝細胞癌に対する切除及び局所療法後の補助化学療法における本剤の有効性及び安全性は確立していない。
③肝細胞癌患者に本剤を使用する場合には,肝機能障害の程度,局所療法の適応の有無,全身化学療法歴等について,「臨床成績」の項の内容に準じて,適応患者の選択を行うこと。

【用法用量】
通常、成人にはソラフェニブとして1回400mgを1日2回経口投与する。なお、患者の状態により適宜増減する。
ここで処方間違いが起こりやすいのが、1回400mgなので1日で400mgを2回に分けるのではないということ。ティーエスワンという抗がん剤が発売されたときはよく間違われていた。

201001142240000.jpgよって、ネクサバール200mg錠(5,426円)を1日4錠、つまり5,426円×4=21,704円ということになる。
1ヵ月でおよそ65万円(3割負担で19.5万円)、1年で78万円の薬剤費がかかってしまう。
これは明らかに高額療養費制度を利用しなければ治療を続けることは困難な薬剤だ。...と言える?


【副作用】
とにかく副作用が多いと言う印象の薬である。全うに服用し続けられる患者はほとんどいないんではないだろうか?

腎細胞癌患者及び肝細胞癌患者を対象とした国内臨床試験において,145例中141例(97.2%)に副作用が認められた。主な副作用の発現例数(発現率)は,リパーゼ上昇85例(58.6%),手足症候群80例(55.2%),アミラーゼ上昇59例(40.7%),発疹59例(40.7%),脱毛53例(36.6%),下痢51例(35.2%),高血圧40例(27.6%),疲労23例(15.9%),食欲不振21例(14.5%),掻痒21例(14.5%),体重減少18例(12.4%),嗄声16例(11.0%),AST(GOT)上昇15例(10.3%)など。

副作用発現により減量、休薬基準が設けられているため、通常用量(薬剤費)よりも半額もしくは4分の1になるかもしれない。
1段階減量;1回400mgを1日1回投与
2段階減量;1回400mgを隔日経口投与
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遅発性の嘔吐に効くっていうアプレピタントがようやく日本でも処方できるようになりました。
宣伝文句としては、「日本初!選択的ニューロキニン1(NK1)受容体拮抗型制吐剤」ってわけだ。

このイメンドカプセルは主に中枢性の嘔吐反応経路に反応するため、今までの吐き気によく効くと言われていた薬剤のような急性期(24時間以内)だけでなく、遅発期(2~5日目)に対しても効果を発揮する!

【用法用量】
他の制吐剤との併用において、通常、成人にはアプレピタントとして抗悪性腫瘍剤投与1日目は125mgを、2日目以降は80mgを1日1回、経口投与する。

<使用上の注意>
がん化学療法の各コースにおいて、本剤の投与期間は3日間を目安とする。また、5日間を超えて本剤を投与した際の有効性、安全性は確立していない。→ってことは、遅発性の嘔吐がひどい場合は、5日間までは飲んでも良いと解釈した。
本剤は、抗がん剤の投与1時間~1時間30分前に投与し、2日目以降は午前中に投与すること。

と、なんとも分かりにくい飲み方である。しかも普段吐き気止めとして併用しているステロイドとの相互作用があるため、アプレピタントを服用するときはステロイドを半量に減量しないといけない。

アプレピタントも高額な上に、ステロイドと一緒に服用している5-HT3受容体拮抗型制吐剤(カイトリル、ゾフランなど)も高額である。

【薬価】
イメンドカプセル 125mg 4,945円/1カプセル
イメンドカプセル  80mg 3,380円/1カプセル、となりました。

通常は1日目に125mg(4,945円)、2、3日目に80mg(3,380円)ずつ飲むわけだから
1回の化学療法で、4,945円+3,380円×2=11,705円と言うことになります。

ちなみに、併用して服用する5-HT3受容体拮抗型制吐剤の薬価は、カイトリル1mg錠(870円)、ゾフラン4mg錠(1,513円)です。
吐き気が続き、イメンドカプセル80mgカプセルを4、5日目も服用した場合は、18,465円です。高ぇ...


イメンド毎週化学療法する患者にとっては、遅発性の嘔吐を抑制するために、5-HT3受容体拮抗型制吐剤+デカドロン(ステロイド)+イメンド(アプレピタント)が支持療法として定着してしまうと、ただでさえ治療費が負担になっているのに何とかならないもんだろうか?それとも気持ちが悪くてご飯も喉を通らないことを考えると安いもんなんだろうか?

3割負担だと3,500円くらいですね。これで嘔気嘔吐がコントロールできるなら良しとするか!


【主な副作用】
国内臨床試験では42.5%の副作用の報告がありました。
主なものは、しゃっくり(13.2%)、ALT(GPT)上昇(12.3%)(いわゆる肝機能の悪化です)、便秘(10.1%)、食欲不振(6.6%)、などなので怖がることはないでしょう。
しかし、重大な副作用には、皮膚粘膜眼症候群、穿孔性十二指腸潰瘍、アナフィラキシーなどがありますので注意が必要です。


【個人的なメモ】
CYP3A4で代謝される薬剤(デキサメタゾン、メチルプレドニゾロン、ミダゾラム等);特に併用されることが多いデキサメタゾンなどのコルチコステロイドと併用する場合には、必要に応じてこれらの薬剤を減量するなど用量に注意する。海外の試験では、静注よりも経口剤の方がその影響は大きかった。

なお、CYP3A4で代謝される抗悪性腫瘍剤であるドセタキセル、ビノレルビンでは、これらの薬剤のAUC等に薬剤の影響は認められなかったことが方向されている。同様にCYP3A4で代謝される5-HT3受容体拮抗型制吐剤であるオンダンセトロン、グラニセトロンでも、これらの薬剤のAUCに本剤の影響は認められなかった。
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