抗がん剤治療にかかる費用(薬剤費)

基本的に日々の業務の中での覚え書きになります。がん薬物療法における安全性や薬剤費(薬価)の概算などを中心に記載していますが、抗がん剤治療を受けている患者さまの経済的不安の解消につながれば幸いです。

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「HER2過剰発現が確認された手術不能又は再発乳がん」の適応でタイケルブ(ラパチニブ)が2009年6月に薬価収載されました。本剤の投与を行う場合は、アンスラサイクリン系抗がん剤、タキサン系抗がん剤、トラスツズマブ(ハーセプチン)による治療を行ったにもかかわらず、増悪もしくは再発した患者を対象とします。

術前・術後補助療法における有効性及び安全性は確立しておりません。

【用法用量】
カペシタビン(ゼローダ)と併用で、ラパチニブとして1250mgを1日1回、食事の1時間以上前又は食後1時間以降に経口投与する。ラパチニブは食事の脂肪分により吸収に影響が出るので食間服用なのです。

ラパチニブ(タイケルブ)は大きな錠剤(長径:19.1mm、厚さ:6.9mm)であることと、一回に250mg錠を5錠も飲まないといけないことから、2回に分けたいところですが、分割投与した場合はAUCが上昇するので禁止になっています。

【投与スケジュール】
タイケルブ1250mg1日1回連日投与カペシタビン(ゼローダ)1000mg/㎡1日2回14日間投与し、7日間休薬します。

つまり、3週間サイクルで
タイケルブは250mg錠(1,620.70円)を1日5錠、3週間だと105錠で170,173円
ゼローダは体表面積1.2㎡とすると300mg錠(354.10円)を1日8錠、14日間で112錠となり、3週間サイクルで39,659円になります。

1日で考えるとタイケルブが約8,000円でゼローダが約3,000円となり、合算すると11,000円1ヵ月で考えるとゼローダの休薬などもあるので30万円。3割負担で9万円です。
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白血病罹患数は、1999年に男性4,499人、女性3,338人で、2004年の死亡数は、男性4,133人、女性2,915人と男性に多い傾向があります。また、成人白血病のうち約8割がAML(急性骨髄性白血病)で、残りの約2割がALL(急性リンパ性白血病)です。ここではAML(急性骨髄性白血病)について解説します。

AMLの症状は、白血病細胞の増殖とそれに伴う正常造血の障害による各血球の減少で、髄外病変やDIC(播種性血管内凝固症候群)を合併することもあります。

薬物療法はAPL(acute promyelocytic leukemia)とそれ以外のAMLで異なります。まず、通常のAML(APL以外のAML)の薬物療法の治療費を、身長170cm、体重60kgの男性を想定し、体表面積1.65㎡で算出したいと思います。

<寛解導入療法>
IDR 12mg/㎡ day 1~3
Ara‐C 100mg/㎡ day 1~7 
1サイクル

IDR(イダマイシン®) 12mg/㎡×1.65㎡=19.8mg(投与量)
15,331円(5mg/V)×4=61,324円×3日=183,972円
Ara‐C(キロサイド®) 100mg/㎡×1.65㎡=165mg(投与量)
3,768円(200mg/A)×1=3,768円×7日=26,376円

よって、寛解導入1サイクルにかかる薬剤費は210,348円となります。これで寛解に至れば、大量Ara‐C療法を行います。

<大量Ara‐C療法>
Ara‐C 3g/㎡ 1日2回 day 1,3,5 (28日ごと) 
3~4サイクル

Ara‐C(キロサイド®) 3g/㎡×1.65㎡=4.95g(投与量)
6,401円(400mg/A)×13=83,213円×2回×3日=499,278円

よって、大量Ara‐C療法では1サイクルに499,278円かかります。これを4サイクル行った場合、499,278円×4=1,997,112円になります。

AMLではこの2レジメンの化学療法を行うため、210,348円+1,997,112円=合計2,207,460円となり、3割負担でも約66万円かかってしまいます。AMLの寛解率は約80%で長期生存率は30%台であることを考えると...



次にAPL(acute promyelocytic leukemia)の治療費を、先程と同様に身長170cm、体重60kgの男性を想定し、体表面積1.65㎡で算出したいと思います。

<寛解導入療法>
ATRA 45mg/㎡ 分3 完全寛解に至るまで継続
DNR 50~60mg/㎡ day 1~3 
1サイクル

ATRA(ベサノイド®) 45mg/㎡×1.65㎡=74.25mg(投与量)
803.3円(10mg/カプセル)×8=6,426.4円×31日(例えば1ヵ月の場合)=199,218.4円
DNR(ダウノマイシン®) 50mg/㎡×1.65㎡=82.5mg(投与量)
1,947円(20mg/V)×5=9,735円×3日=29,205円

よって、1サイクルに228,423.4円かかります。

<地固め療法>
DNR 50~60mg/㎡ day 1~3 
1~2サイクル

DNR(ダウノマイシン®) 50mg/㎡×1.65㎡=82.5mg(投与量)
1,947円(20mg/V)×5=9,735円×3日=29,205円×2サイクル=58,410円

<維持療法>
ATRA 45mg/㎡ 分3 day 1~15
6‐MP 100mg/㎡ 分1 連日
MTX 10mg/㎡/week 週1回 
3ヵ月ごとに2年間(8サイクル)

ATRA(ベサノイド®) 45mg/㎡×1.65㎡=74.25mg(投与量)
803.3円(10mg/カプセル)×8=6,426.4円×15日=96,396円×8サイクル=771,168円
6‐MP(ロイケリン散10%®) 100mg/㎡×1.65㎡=165mg(投与量)
92円(100mg)×165mg=151.8円×2年=110,814円
MTX(メソトレキセート®) 10mg/㎡×1.65㎡=16.5mg(投与量)  
3,392円(50mg/V)×1=3,392円×2年=352,768円

よって、2年かかる維持療法には、1,234,750円かかります。

APLの薬物療法では、228,423.4円(寛解導入療法)+58,410円(地固め療法)+1,234,750円(維持療法)=合計1,521,583.4円(約150万円)です。3割負担でも約45万円になります。APLでは、ATRAによる分化誘導療法(分子標的療法)導入により、70~80%の患者で長期生存が得られるようになりました。
インフルエンザ脳症とは!を語る前に...

脳炎は、主にウイルスが直接、脳に入って増殖し、炎症を起こすもの。神経細胞がウイルスによって直接破壊されたりする。この時、脳の中にリンパ球、マクロファージといった炎症細胞が多数出現し、脳が腫れやすくなる。

脳症の場合は、脳の中にウイルスも炎症細胞も見当たらないが、それでも脳が腫れ、頭の中の圧力が高まってくる。このため脳全体の機能が低下してきて、意識障害を起こす。

インフルエンザ脳症とは、インフルエンザをきっかけとして生じた脳症という意味。


インフルエンザ脳症の原因

血管の細胞(血管内皮細胞)が炎症性サイトカインの影響を受けると、血管の透過性が強まり、血液中の水分やいろいろな物質が血管外の組織に漏れやすくなる。こうして組織が「腫れた」状態が生じる。通常、脳の血管は、こうした漏れを防ぐしくみがとくにしっかりしているが、インフルエンザ脳症の重症型では、このしくみが壊れてしまい、脳が腫れてしまう。

炎症性サイトカインが過剰に産生されやすい、またはサイトカインに対して血管などが過剰に反応しやすいなどのメカニズムが考えられる。

ある種の解熱剤(ジクロフェナクNa、メフェナム酸など)を服用するとインフルエンザ脳症の死亡率が上昇することが判明した。この理由について、血管内皮細胞をはじめとするいろいろな細胞障害から回復するのを、これらの薬剤が妨げてしまうことによるものではないかとの仮説がある。


インフルエンザ脳炎・脳症にみられた異常な言動

・ 自分の手をハムだ、ポテトだと言ってかじりついた。(oral tendency)
・ ついていないテレビをみて、猫がくる、お花畑がたくさんあると口走った。(大脳基底核・辺縁系の異常の可能性)
・ 咳をした後、枕に頭を打ち付けて、キャーキャー叫んだ。(扁桃体を含む大脳辺縁系の異常の可能性)
・ 突然、赤ちゃんのような喋り方で訳の分からないことを言う。
・ 知っている言葉をとりとめなく喋る。


インフルエンザに罹ったら...

インフルエンザは、突然の悪寒や発熱で始まり、頭痛全身のだるさ、関節や筋肉の痛みの他、鼻汁や鼻づまりなどの鼻の症状、喉の痛み、咳、痰などの気道の症状、腹痛、嘔吐、下痢などの消化器症状をしばしば伴う。

発熱に対して、氷枕や氷嚢は乾いたタオルで包んで、頭、首、脇の下、足の付け根などを直接冷やす。39℃以上の発熱があって、元気が無く、ぐったりしているようなら解熱剤(アセトアミノフェン)を使っても良い。体温が1~2℃下がればよい。


インフルエンザ脳症の症状

インフルエンザ脳症でよくみられる症状は、けいれん意識障害異常行動である。

けいれんは、筋肉のこわばりやガクガクとした動きで、1分程度の短いものから20分以上も続く長いものまで様々である。回数は1回だけのことも、何回も繰り返すこともある。

意識障害は、簡単に言うと眠ったようになってしまい、呼びかけや痛みで刺激しても目が覚めないような状態をいう。軽い意識障害の場合には、何となくボーッとしているとか、すぐにウトウトするというような状態のこともある。

異常行動は、ふだんとは全然違うおかしな言動で、さまざまなものがある。ゾウやライオンなどの動物やポケモンなどのアニメのキャラクターがやってくるなどの幻視・幻覚を中心とした意味不明の言動。親がそばにいるのに探したり、意味不明の言葉を喋ったり、理由もなくおびえたりもする。


熱性けいれんとの違い

・ 左右対称性のけいれんで、5分以内に自然に止まった。
・ けいれんは1回だけだった。
・ けいれんのすぐあとに意識が戻った。

という場合は熱性けいれんと考えて良い。
脳症の場合は、けいれんが止まったのに意識が戻らない、15~20分以上けいれんが止まらない、けいれんの前後に異常な言動がみられ、専門家でも区別が付きにくい。
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