抗がん剤治療にかかる費用(薬剤費)

基本的に日々の業務の中での覚え書きになります。がん薬物療法における安全性や薬剤費(薬価)の概算などを中心に記載していますが、抗がん剤治療を受けている患者さまの経済的不安の解消につながれば幸いです。

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食道がんの治療と言えば主に手術でしたが、近年、放射線治療の発展に伴い化学放射線療法が行われるようになりました。これらの目的は、遠隔転移に対する症状緩和・延命、手術前後に化学療法を行うことによる生存率の向上です。

1999年の罹患数は12,402人、2004年の死亡数は11,172人でほぼ横ばい。欧米では腺がんが急増していますが、本国では90%以上扁平上皮がんです。扁平上皮がんの危険因子には、腐食性食道炎、頭頸部がんの既往歴、喫煙歴、飲酒歴、アカラシア、貧困、熱い飲み物の頻繁な摂取が挙げられ、狭窄感、嚥下障害で発見されます。


ステージ0では、EMR(内視鏡的粘膜切除術)が行われ、ステージⅠでは、手術に化学放射線療法がオプションで行われます。ステージⅡ・Ⅲでは術後に化学放射線療法を2サイクル行います。わが国で行われた臨床試験では、CR率が68%、3年生存率が46%でした。

<FP radiation療法>
CDDP 75mg/㎡ day 1 (4週ごと)
5‐FU 1000mg/㎡ day 1~4 (4週ごと)
2サイクル

RT 1.8Gy/fr/day (計50.4Gy)

身長170cm、体重60kgの男性の場合、体表面積は1.65㎡になります。
CDDP(ランダ®) 75mg/㎡×1.65㎡=123mg(投与量)
15,970円(50mg/V)×2+8,992円(25mg/V)×1=40,932円
5‐FU 1000mg/㎡×1.65㎡=1650mg(投与量)
438円(250mg/A)×7=3,066円

よって、1サイクルに43,998円かかり、これを2回繰り返すので、43,998円×2サイクル=87,996円となります。
また、放射線療法(RT)は、day 1~5、8~12、15~19、22~26、29~33、36~38に行われますが、この放射線治療にかかる治療費は計算しておりません...


ステージⅣ・再発症例では、5‐FU/CDDP(FP)併用療法を行い、奏功率は約35%、生存期間中央値は7ヵ月ですので、6ヵ月(6サイクル)の薬剤費を計算します。二次化学療法としてDTX療法を行う場合もあります。

<FP療法>
CDDP 80mg/㎡ day 1 (4週ごと)
5‐FU 800mg/㎡ day 1~5 (4週ごと)

身長170cm、体重60kgの男性の場合、体表面積は1.65㎡になります。
CDDP(ランダ®) 80mg/㎡×1.65㎡=132mg(投与量)
15,970円(50mg/V)×2+8,992円(25mg/V)×1+3,651円(10mg/V)×1=44,583円
5‐FU 800mg/㎡×1.65㎡=1320mg(投与量)
438円(250mg/A)×6=2,628円

よって、1サイクルに47,211円かかり、これを6回繰り返すので、47,211円×6サイクル=283,266円となります。

<DTX療法>
DTX 70mg/㎡ day 1 (3週ごと)

DTX(タキソテール®) 70mg/㎡×1.65㎡=115.5mg(投与量)  
70,893円(80mg/V)×1+20,600円(20mg/V)×2=112,093円×8=896,744円/半年

ステージⅣにて化学療法を行う際、治療効果にあまり差がないのであれば、DTX療法よりもFP療法の方がはるかに経済的です。ただ、FP療法は外来で行えないため、DTX療法であれば外来化学療法で、余命を有意義に過ごすことが出来るのではないでしょうか。
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