抗がん剤治療にかかる費用(薬剤費)

基本的に日々の業務の中での覚え書きになります。がん薬物療法における安全性や薬剤費(薬価)の概算などを中心に記載していますが、抗がん剤治療を受けている患者さまの経済的不安の解消につながれば幸いです。

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わが国の乳がん罹患数は年々増加傾向にあり、女性における乳がん罹患率は1999年にはこれまで1位だった胃がんを抜いて1位となりました。また、死亡数は、胃がん、肺がんについで3位であり、今後も増加傾向にあります。手術適応例でも術後10年以内には約30%の方が再発してしまうと悲しい現実もあります。

2004年の死亡数は9,885人で、1999年の罹患数は36,139人です。リスクファクターには、年齢、乳がんの家族歴、乳腺増殖性疾患の既往、早い初潮、遅い閉経、遅い第1子出産、少ない出産回数、ホルモン補充療法、肥満、高脂肪食、アルコール摂取などあります。

最初に病院を受診したときに、転移を有する進行乳がんと診断される方は10%以下ですが、その中で転移を有する症例の5~10%の方は5年以上の生存を望めます。しかし、転移性乳がんは治癒が不可能なため、治療の目的は症状の緩和(延命)になります。

今回は、ホルモン感受性がなく、HER2/new過剰発現ありと診断された患者を想定して治療費を考えたいと思います。HER2/new過剰発現がなければ、タキソール®(パクリタキセル)やタキソテール®(ドセタキセル)の単剤投与となりますが、HER2/new過剰発現ありの場合は、ハーセプチン®/タキソール®併用療法となります。

<HER/PTX併用療法>
HER 2mg/kg day 1,8,15,22 (4週ごと)
PTX 80mg/㎡ day 1,8,15 (4週ごと)

身長155cm、体重50kgの女性の場合、体表面積は1.42㎡になります。
HER(ハーセプチン®) 2mg/kg×50kg=100mg(投与量)  
30,258円(60mg/V)×2=60,516円×4回=242,064円

PTX(タキソール®) 80mg/㎡×1.42㎡=113.6mg(投与量)  
43,768円(100mg/V)×1+14,795円(30mg/V)×1=58,563円×3回=175,689円

1ヶ月の薬剤費用が、242,064円+175,689円=417,753円です。

医療保険の対象になりますから3割負担ですが、転移・再発乳がんの治療は治癒を目的としているわけではないので、何コースで終了というわけではありません。1年間治療して半年休薬し、再度半年間治療しその後治療困難となることが多いようです。

よって、一般的に転移・再発乳がん治療にかかる薬剤費用は、417,753円/月×18ヶ月=7,519,554円です。3割負担、高額医療制度などありますので、そのままの金額を支払うことはないと思いますが(医療保険についてはよく分かりません...)、この抗がん剤治療は外来化学療法で行いますので、包括医療制度の対象外になります。



ちなみにHER2/new過剰発現なしの場合は、タキソール®(パクリタキセル)やタキソテール®(ドセタキセル)の単剤投与になりますが、薬剤費は以下の通りです。

<PTX療法>
PTX 80mg/㎡ day 1,8,15 (4週ごと)

PTX(タキソール®) 80mg/㎡×1.42㎡=113.6mg(投与量)  
43,768円(100mg/V)×1+14,795円(30mg/V)×1=58,563円×3回=175,689円×6=1,054,134円/半年


<DTX療法>
DTX 70mg/㎡ day 1 (3週ごと)

DTX(タキソテール®) 70mg/㎡×1.42㎡=99.4mg(投与量)  
70,893円(80mg/V)×1+20,600円(20mg/V)×1=91,493円×8=731,944円/半年

半年の薬剤費が、PTX(タキソール®)で1,054,134円、DTX(タキソテール®)で731,944円です。転移臓器への移行性の問題もありますが、同効果なら経済的な選択肢もあるんではないでしょうか?



また、これらの薬剤で効果がない、副作用などによって継続出来ないというときは、ナベルビン®単剤投与やカペシタビンの内服療法に切り替わります。

<VNB療法>
VNB 25mg/㎡ day 1,8 (3週ごと)

VNB(ナベルビン®) 25mg/㎡×1.42㎡=35.5mg(投与量)  
26,359円(40mg/V)×1=26,359円×2回=52,718円×8=421,744円/半年


<カペシタビン療法>
カペシタビン 2500mg/㎡ 分2 day 1~14 (3週ごと)

カペシタビン(ゼローダ®) 2500mg/㎡×1.42㎡=3550mg(投与量)  
368.7円(300mg/錠)×12=4424.4円×14日=61,941.6円×8=495,532.8円/半年

ハーセプチン®を併用した化学療法では、薬剤費が高額になってしまいますが、HER2/new過剰発現なしで併用できない場合、あまり効果に差がないのであれば経済的な理由も含めて治療法を考えていきたいですね?
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わが国の乳がん罹患数は年々増加傾向にあり、女性における乳がん罹患率は1999年にはこれまで1位だった胃がんを抜いて1位となりました。また、死亡数は、胃がん、肺がんについで3位であり、今後も増加傾向にあります。手術適応例でも術後10年以内には約30%の方が再発してしまうと悲しい現実もあります。

2004年の死亡数は9,885人で、1999年の罹患数は36,139人です。リスクファクターには、年齢、乳がんの家族歴、乳腺増殖性疾患の既往、早い初潮、遅い閉経、遅い第1子出産、少ない出産回数、ホルモン補充療法、肥満、高脂肪食、アルコール摂取などあります。

乳がんの治療は、初発(初めて乳がんと診断)か再発?ホルモン感受性の有り無し?によって治療方針が変わってきます。今回は、初めて乳がんと診断され手術後にホルモン感受性が無いため、化学療法(抗がん剤治療)を行うことになったと想定して治療費を考えます。

通称、術後補助療法といわれる抗がん剤治療は、4コースのAC療法もしくは6コースのCMF療法が行われます。再発リスクが高い場合は、AC療法に引き続いて4コースのタキサン系薬剤(パクリタキセル・ドセタキセル)の併用療法が行われます。

患者の状態(高齢や脱毛がどうしても嫌)によっては、CMF療法を選択することもありますが、AC followed by PTX といってAC療法4コースの後にタキソール®(パクリタキセル)を4コース行うのが主流になっています。

初発の乳がんは、手術後いかに再発させないか!が目標になっています。なので、ちょっときついです...

<AC followed by PTX>
ADR 60mg/㎡ day 1 (3週ごと)
CPA 600mg/㎡ day 1 (3週ごと) 
4サイクルに引き続き、

PTX 175mg/㎡ day 1 (3週ごと) 
4サイクル

身長155cm、体重50kgの女性の場合、体表面積は1.42㎡になります。

ADR(アドリアシン®) 60mg/㎡×1.42㎡=85.2mg(投与量)  
2,590円(10mg)×9=23,310円×4サイクル=93,240円
CPA(エンドキサン®) 600mg/㎡×1.42㎡=852mg(投与量)  
945円(500mg)+237円(100mg)×4=1,893円×4サイクル=7,572円

PTX(タキソール®) 175mg/㎡×1.42㎡=248.5mg(投与量)  
43,768円(100mg)×2+14,795円(30mg)×2=117,126円×4サイクル=468,504円

よって、乳がん術後補助療法にかかる費用は569,316円です。もちろん医療保険の対象になりますから3割負担です。この化学療法は、再発させないための治療であり(乳がんは再発させないことが重要!)、この治療費を高く感じるかは10年後のことを考えると安い?かも...
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