抗がん剤治療にかかる費用(薬剤費)

基本的に日々の業務の中での覚え書きになります。がん薬物療法における安全性や薬剤費(薬価)の概算などを中心に記載していますが、抗がん剤治療を受けている患者さまの経済的不安の解消につながれば幸いです。

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平成20年9月19日、上皮成長因子受容体(EGFR)を標的とする日本初のモノクローナル抗体がん治療薬アービタックス(セツキシマブ)が、大腸がん治療薬として発売されました。アービタックスは、EGFR陽性の治癒切除不能進行・再発大腸がんのセカンドライン治療およびそれ以降の治療におけるイリノテカンとの併用療法もしくは単剤療法での使用が認められていました。

その後、様々な臨床試験によりイリノテカンとの併用療法だけでなく、FOLFIRI療法やFOLFOX療法との併用療法も認められるようになりました。

【効能・効果】
EGFR陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん

【用法・用量】
通常、成人には週1回、セツキシマブ(遺伝子組換え)として、初回は400mg/㎡を2時間かけて、2回目以降は250mg/㎡を1時間かけて点滴静注する。なお、患者の状態により適宜減量する。


まず、身長170cm、体重60kg、体表面積1.65㎡の患者を想定し、単剤療法での薬剤費を計算してみたいと思います。

アービタックス初回:400mg/㎡×1.65㎡=660mg
35,894円(100mg/V)×7=251,258円
2回目以降:250mg/㎡×1.65㎡=412.5mg
35,894円(100mg/V)×5=179,470円

アービタックスは、毎週投与を繰り返すので、最初の1ヵ月は、251,258円×1回(初回)+179,470円×3回(2回目以降)=789,668円(約80万円)です。
2ヵ月目以降は、179,470円×4回=717,880円(約72万円)となります。
単剤療法でも薬価ベースで、毎月70万円近くかかり、3割負担に換算しても約20万円かかります。
同じ抗EGFRモノクローナル抗体製剤であるベクティビックスは、毎月、薬価ベースで約60万円、3割負担で約18万円です。初回増量することなどを勘案するとアービタックスの方が割高となる結果になりました。(お断り:効果についてはここでは検討しておりません...)

FOLFIRI療法を併用する場合は、1回の投与に73,894円を追加してください。また、FOLFOX療法を併用する場合は137,635円を追加してください。詳細は、「ベクティビックス = 2成分目の抗EGFRモノクローナル抗体製剤」をご覧ください。
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今年の春、抗悪性腫瘍剤のパニツムマブ(ベクティビックス点滴静注100mg)が発売された。適応は、「KRAS遺伝子野生型の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」であり、用法・用量は「成人に2週間に1回6mg/㎏を60分以上かけて点滴静注」となっている。

今回、製造承認されたパニツムマブは、セツキシマブ(アービタックス)と同じ抗EGFRモノクローナル抗体製剤であり、抗EGFRモノクローナル抗体製剤としては2成分目となる。パニツムマブは、セツキシマブがマウス抗体を一部使用したキメラ型モノクローナル抗体であるのに対し、EGFRへの親和性が高い完全ヒト型モノクローナル抗体である点が大きな特徴である。

パニツムマブは、国内外の臨床試験結果で、KRAS遺伝子の野生型患者の治癒切除不能な進行・再発の結腸癌・直腸癌に対して、他の化学療法(FOLFOXFOLFIRIなど)との併用(一次、二次治療)や単独投与(三次治療)で有用性が認められている。


【副作用等発現状況】
<併用投与時>(FOLFIRI又はFOLFOX4との併用)
本剤と化学療法との併用による国際共同試験(FOLFIRI併用302例、日本を含む)及び海外臨床試験(FOLFOX4併用322例)において、本剤が併用投与されたKRAS遺伝子野生型の転移性結腸・直腸癌患者624例中620例(99%)に副作用が認められた。主な副作用(20%以上)は、下痢371例(59%)、発疹332例(53%)、好中球減少症301例(48%)、悪心274例(44%)、疲労196例(31%)、ざ瘡様皮膚炎186例(30%)、食欲不振160例(26%)、低マグネシウム血症156例(25%)、口内炎152例(24%)、嘔吐146例(23%)、粘膜の炎症141例(23%)、皮膚乾燥122例(20%)、そう痒122例(20%)であった。

<単独投与時>
国内の臨床試験(第1相臨床試験13例、第2相臨床試験52例)において、本剤が単独投与された転移性結腸・直腸癌患者65例中64例(98%)に副作用が認められた。主な副作用(20%以上)は、ざ瘡42例(65%)、皮膚乾燥39例(60%)、発疹36例(55%)、そう痒27例(42%)、爪囲炎23例(35%)、低マグネシウム血症18例(28%)、疲労17例(26%)、口内炎16例(25%)、食欲不振13例(20%)であった。海外臨床試験では,本剤が単独投与された転移性結腸・直腸癌患者987例中925例(94%)に副作用が認められた。主な副作用(20%以上)は,ざ瘡様皮膚炎526例(53%)、そう痒521例(53%)、紅斑519例(53%)、発疹359例(36%)であった。


【薬剤費の計算】
ベクティビックス点滴静注100mgの薬価は、75,567円/1瓶になりました。
今回は、身長170cm、体重60kg、体表面積1.65㎡の患者を想定して計算します。

ベクティビックスまず、単剤療法の場合は... 
→ 60kg×6mg/㎏=360mg 
→ 75,567円×4瓶=302,268円
1回あたりの治療費は、約30万円。3割負担で約9万円です。これを隔週で投与していきます。

では、併用療法の場合、この単剤療法の治療費にFOLFOX、FOLFIRIの治療費が上乗せされます。実は3年前にも計算しているんですが、その後、薬価が改定されているので今回再び計算してみたいと思います。

<FOLFIRI療法>
CPT‐11 180mg/㎡ day 1 (2週ごと) 
l‐LV 200mg/㎡ day 1 (2週ごと)
5‐FU 400mg/㎡ day 1 (2週ごと)
5‐FU(持続静注) 2400mg/㎡ day 1 (2週ごと)

CPT‐11(カンプト) 180mg/㎡×1.65㎡=297mg
14,895円(100mg/V)×3=44,685円
l‐LV(レボホリナート) 200mg/㎡×1.65㎡=330mg
6,071円(100mg/V)×3+1,755円(25mg/V)×2=21,723円
5‐FU 400mg/㎡×1.65㎡=660mg  
394円(250mg/A)×3=1,182円
5‐FU(持続静注) 2400mg/㎡×1.65㎡=3960mg  
394円(250mg/A)×16=6,304円

カンプトよって1回の投与に73,894円かかります。3年前(116,701円)と比べて37%薬価が下がりました。
ベクティビックスとFOLFIRI療法の併用では、薬価で約37万5千円で、3割負担で約11万円でした。

<mFOLFOX6療法>
L‐OHP 85mg/㎡ day 1 (2週ごと)
l‐LV 200mg/㎡ day 1 (2週ごと)
5‐FU 400mg/㎡ day 1 (2週ごと)
5‐FU(持続静注) 2400mg/㎡ day 1 (2週ごと)

L‐OHP(エルプラット) 85mg/㎡×1.65㎡=140.25mg
70,284円(100mg/V)×1+38,142円(50mg/V)×1=108,426円
l‐LV(レボホリナート) 200mg/㎡×1.65㎡=330mg
6,071円(100mg/V)×3+1,755円(25mg/V)×2=21,723円
5‐FU 400mg/㎡×1.65㎡=660mg  
394円(250mg/A)×3=1,182円
5‐FU(持続静注) 2400mg/㎡×1.65㎡=3960mg  
394円(250mg/A)×16=6,304円

エルプラットよって1回の投与に137,635円かかります。3年前(194,077円)と比べて29%薬価が下がりました。
ベクティビックスとmFOLFOX6療法の併用では、薬価で約44万円で、3割負担で約13万円でした。

いずれの療法も薬価が30%近く下がり、3年前に比べると治療しやすいお値段になりました。しかし、ベクティビックスと併用することにより再び治療費がはね上がってしまいました。どちらも投与1回分の治療費なので月あたりに換算すると単純に倍になります。1回分だけでも高額医療の対象に十分なりますので、早めの申請をお薦めします。
大腸がんの発生は生活の豊かさに関係していると言われ、日本も世界の罹患率上位国にランキングしていますが、高い治癒率であるという特徴もあります。欧米で罹患率が低下していく一方、本国の検診受診率は約75%であり、受診率を上げることが今後の課題になっています。

大腸がんの2004年の死亡数は26、472人で、1999年の罹患数は62,197人です。同じく直腸がんの死亡数は13,570人で、罹患数は32,295人です。これらの数字は現在でも増加しており、大腸がんの死亡率は男性では肺がん、胃がん、肝がんについで第4位、女性では第1位になります。

リスクファクターには肥満、炎症性腸疾患、糖尿病、家族歴などがあり、赤身肉、アルコール、喫煙などもリスクを上げると言われています。血便、貧血、便通異常、腹痛といった症状がみられれば大腸がんを疑います。


>>大腸がん(ステージ0~Ⅲ)はこちらです! 

大腸がん(ステージⅣ・再発)の治療は、肝、肺、脳転移などで切除可能であれば切除します。切除不能で全身状態が一定以上に保たれる場合は、全身化学療法を行います。現在、ファーストラインと考えられている抗がん剤治療はFOLFIRI療法・FOLFOX療法です。これらの治療法はインフューザーポンプを利用した持続静注を行うため、体の内部にポートを埋め込む簡単な手術が必要です。

<FOLFIRI療法>
CPT‐11 180mg/㎡ day 1 (2週ごと)
l‐LV 200mg/㎡ day 1 (2週ごと)
5‐FU 400mg/㎡ day 1 (2週ごと)
5‐FU(持続静注) 2400mg/㎡ day 1 (2週ごと)

身長170cm、体重60kgの男性の場合、体表面積は1.65㎡になります。
CPT‐11(トポテシン®) 180mg/㎡×1.65㎡=297mg(投与量)
8,520円(40mg/V)×8=68,160円
l‐LV(アイソボリン®) 200mg/㎡×1.65㎡=330mg(投与量)
11,283円(100mg/V)×3+3,185円(25mg/V)×2=40,219円
5‐FU 400mg/㎡×1.65㎡=660mg(投与量)  
438円(250mg/A)×3=1,314円
5‐FU(持続静注) 2400mg/㎡×1.65㎡=3960mg(投与量)  
438円(250mg/A)×16=7,008円

よって1回の投与に116,701円かかります。FOLFOX療法へ切り替えるにしても、副作用などで継続困難とならない限り半年は継続しますので、116,701円×12回=1,400,412円になります。


<mFOLFOX6療法>
L‐OHP 85mg/㎡ day 1 (2週ごと)
l‐LV 200mg/㎡ day 1 (2週ごと)
5‐FU 400mg/㎡ day 1 (2週ごと)
5‐FU(持続静注) 2400mg/㎡ day 1 (2週ごと)

身長170cm、体重60kgの男性の場合、体表面積は1.65㎡になります。
L‐OHP(エルプラット®) 85mg/㎡×1.65㎡=140.25mg(投与量)
72,768円(100mg/V)×2=145,536円
l‐LV(アイソボリン®) 200mg/㎡×1.65㎡=330mg(投与量)
11,283円(100mg/V)×3+3,185円(25mg/V)×2=40,219円
5‐FU 400mg/㎡×1.65㎡=660mg(投与量)  
438円(250mg/A)×3=1,314円
5‐FU(持続静注) 2400mg/㎡×1.65㎡=3960mg(投与量)  
438円(250mg/A)×16=7,008円

よって1回の投与に194,077円かかります。代表的な副作用である神経障害で悩まされない限り継続しますので、半年で194,077円×12回=2,328,924円となります。

再発・転移大腸がんの化学療法では、FOLFIRI療法・mFOLFOX6療法がファーストラインと考えられていますが、どちらを先にやっても延命効果に差がないと報告されています。そのため、副作用や経済的なことを考えて、FOLFIRI療法を先に行う傾向があります。

今回は半年で薬剤費を算出しましたが、これらの化学療法では2年近くの延命効果を期待することが出来ます。単純に4倍すると、FOLFIRI療法では約560万円、mFOLFOX6療法では約930万円です。精神的苦痛、肉体的苦痛にさらに経済的苦痛が覆い被さることになりそうです...
大腸がんの発生は生活の豊かさに関係していると言われ、日本も世界の罹患率上位国にランキングしていますが、高い治癒率であるという特徴もあります。欧米で罹患率が低下していく一方、本国の検診受診率は約75%であり、受診率を上げることが今後の課題になっています。

大腸がんの2004年の死亡数は26、472人で、1999年の罹患数は62,197人です。同じく直腸がんの死亡数は13,570人で、罹患数は32,295人です。これらの数字は現在でも増加しており、大腸がんの死亡率は男性では肺がん、胃がん、肝がんについで第4位、女性では第1位になります。

リスクファクターには肥満、炎症性腸疾患、糖尿病、家族歴などがあり、赤身肉、アルコール、喫煙などもリスクを上げると言われています。血便、貧血、便通異常、腹痛といった症状がみられれば大腸がんを疑います。


大腸がん(ステージ0~Ⅲ)は手術による切除が基本です。治癒切除の行われた症例に対して再発予防で術後補助化学療法を行います。ステージⅡ以下の症例に対しては再発リスクが高い場合を除いて行わず、ステージⅢでは5‐FU/l‐LV療法を行います。経口抗がん剤(UFT/LV)による術後補助化学療法でも同等の効果が報告されています。

<5‐FU/l‐LV療法>
5‐FU 500mg/㎡ day 1,8,15,22,29,36 (8週ごと)
l‐LV 250mg/㎡ day 1,8,15,22,29,36 (8週ごと)
3サイクル

身長170cm、体重60kgの男性の場合、体表面積は1.65㎡になります。
5‐FU 500mg/㎡×1.65㎡=825mg(投与量)  
438円(250mg/A)×4=1,752円

l‐LV(アイソボリン®) 250mg/㎡×1.65㎡=412.5mg(投与量)
11,283円(100mg/V)×4+3,185円(25mg/V)×1=48,317円

よって1回の投与に50,069円かかり、これを全部で6回繰り返し3サイクル行うので、50,069円×6回×3サイクル=901,242円となります。


<UFT/LV療法>
UFT 300mg/㎡ 分3 day 1~28 (5週ごと)
LV 75mg/day 分3 day 1~28 (5週ごと)
5サイクル

身長170cm、体重60kgの男性の場合、体表面積は1.65㎡になります。
UFT(ユーエフティー®) 300mg/㎡×1.65㎡=495mg(投与量)
308.2円(100mg/カプセル)×5=1,541円×28日=43,148円×5サイクル=215,740円

LV(ロイコボリン®) 75mg(投与量)
2,304.5円(25mg/錠)×3=6,913.5円×28日=193,578円×5サイクル=967,890円

よって1サイクル236,726円かかり、これを全部で5サイクル行うので、1,183,630円となります。

早期大腸がんの術後に再発予防で行う術後補助療法は、効果としては同等と報告されています。毎週通うことになる5‐FU/l‐LV療法(点滴)と通院の手間がないUFT/LV療法(内服)では、LV製剤が高額なことから経済面での差がありません。
アバスチン(Genentech/中外製薬、主成分:ベバシズマブ)は、がんに対する新しい分子標的薬です。臨床試験でアバスチンの抗がん剤増強作用が確認され、日本でも2007年4月より発売されました。しかし、国内での治験症例が極めて限られていることから、一定数のデータが集積されるまでは市販後調査が実施されます。

アバスチンの標的となる分子は、VEGF(血管内皮増殖因子)というたんぱく質です。VEGFは血管の細胞を増殖させる働きを持っており、VEGFの分泌が起こる部位に血管が伸びたり、新しい血管ができたりします。この現象を血管新生といいます。アバスチンは、この血管新生を抑制することで、がんの増殖を抑えます。

血管新生とがんは深く関連しています。がん細胞は通常の細胞に比べて増殖速度が速く、多くの栄養分を必要とします。そのため栄養分を吸収するために、がん細胞はVEGFを分泌して血管をがん細胞のところまで誘導します。つまりがん細胞への血管新生が起こるわけです。

アバスチンは、VEGFと特異的に結合するたんぱく質(モノクローナル抗体)です。VEGFによる血管新生が起こるためには、VEGFがVEGF受容体と呼ばれるたんぱく質に結合しなくてはいけません。アバスチンは、VEGFと結合して、VEGFがVEGF受容体に結合できないようにします。アバスチンによって血管新生が抑えられると、がん細胞に血管が届きにくくなり、がん細胞の増殖速度が低下します。


アバスチンは、がん細胞の増殖をおさえる働きがあります。しかし、アバスチンだけではがんを小さくすることはできません。がんを小さくさせるには、FOLFIRI、FOLFOXなど、これまで使われてきた抗がん剤との組み合わせが必要です。

臨床試験により安全性が確認されている併用抗がん剤としては、FOLFOX4、IFL、l-LVですが、通常はFOLFIRI、mFOLFOX6と併用されます。用量は5mg/kgと10mg/kgが設定されていますが、今のところ一次治療として5mg/kgで投与されます。

国内では承認時までに18例しか臨床試験を行っていないため、市販後調査2500例を目標にしているようです。もし、その間に重大な副作用が問題になろうものなら、世の中からアバスチンが抹殺されてしまうかもしれません。そのため、あまり状態の良くない患者さんには使用を制限されています(PS 0~1のみ)。


ここで気になる治療費ですが、アバスチンは2週間おきに投与します。
体重60kgの場合、1回の投与量は、
5mg/kg×60kg=300mg
50,291円(100mg)×3=150,873円です。

アバスチンは単独で投与されることはありませんので、FOLFIRI(約200,000円)、FOLFOX(約400,000円)と併用すると、約35~55万円かかることになります。この治療法により2年近くの延命効果があることを考えると約35~55万円×50回=約1750~2750万円かかることになります。

もちろん医療費は3割負担となり、高額医療で返還されますが、それでも外来化学療法で点滴するときは包括医療の対象になりませんので、約55万円(FOLFOX+アバスチン)の場合、3割負担分の16万5000円は一時的に現金を用意しなければなりません。
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