抗がん剤治療にかかる費用(薬剤費)

基本的に日々の業務の中での覚え書きになります。がん薬物療法における安全性や薬剤費(薬価)の概算などを中心に記載していますが、抗がん剤治療を受けている患者さまの経済的不安の解消につながれば幸いです。

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胃がんは悪性腫瘍による死亡の16%(第2位)を占めており、2004年の死亡数は50,562人、1999年の罹患数は103,685人でした。人口10万人に対する死亡率は男性が53人、女性が27人です。胃がん発生に影響を及ぼすものとしてHelicobacter pylori感染、野菜や果物の摂取不足、食塩過多などがあげられます。

臨床症状は上腹部痛、食欲不振、体重減少、貧血、腹部腫瘤、嘔吐、吐血、嚥下困難などがありますが、特徴的な自覚症状はなく、無症状のまま進行がんに至るケースが多くあります。


早期胃がんの術後化学療法では、標準治療がありませんでした。欧米では術後化学放射線療法の有用性の報告がありますが、手術レベルの高いわが国では術後化学療法の必要性がなかったのです。しかし、最近の臨床試験で、早期胃がんの術後補助療法にS‐1療法が位置づけられました。

<S‐1療法>
S‐1 80mg/㎡ 分2 day 1~28 (6週ごと)

身長170cm、体重60kgの男性の場合、体表面積は1.65㎡になります。術後2年間服用した場合、
S‐1(ティーエスワン®) 80mg/㎡×1.65㎡=132mg(投与量)  
847.8円(25mg/カプセル)×1+704.9円(20mg/カプセル)×2=2,257.6円×2回×28日=126,425.6円×18サイクル=2,275,660.8円/2年



切除不能・再発胃がんでは、5‐FUをベースにした比較試験が世界的に行われてきましたが、標準治療が存在していませんでした。しかし、最近の臨床試験でS‐1療法、さらにS‐1+CDDP療法の有用性が報告されました。

<5‐FU療法>
5‐FU 800mg/㎡ day 1~5 (4週ごと)

身長170cm、体重60kgの男性の場合、体表面積は1.65㎡になります。術後1年間継続した場合、
5‐FU 800mg/㎡×1.65㎡=1320mg(投与量)
438円(250mg)×6=2,628円×5日=13,140円×12ヶ月=157,680円/1年

奏功率11%、MST(生存期間中央値)7.1ヶ月ですが、5‐FU単剤による治療ですとあまり薬剤費がかかりません。つい最近まで標準治療でした。

<S‐1療法>
S‐1 80mg/㎡ 分2 day 1~28 (6週ごと)
早期胃がんと同じ。1,137,830.4円/1年

<S‐1+CDDP療法>
S‐1 80mg/㎡ 分2 day 1~21 (5週ごと)
CDDP 60mg/㎡ day 8 (5週ごと)

S‐1(ティーエスワン®) 80mg/㎡×1.65㎡=132mg(投与量)  
847.8円(25mg/カプセル)×1+704.9円(20mg/カプセル)×2=2,257.6円×2回×21日=94,819.2円×11サイクル=1,043,011.2円/1年

CDDP(ランダ®) 60mg/㎡×1.65㎡=99mg(投与量)
15,970円(50mg/V)×2=31,940円×11サイクル=351,340円/1年
よって、1年間に1,394,351.2円かかります。

5‐FU療法では、約16万円/年 奏功率11%、MST 7.1ヶ月
S‐1療法では、約113万円/年 奏功率40~50%、MST 7~8ヶ月
S‐1+CDDP療法では、約140万円/年 奏功率74%、MST 12.8ヶ月

この切除不能・再発症例の化学療法は罹患率の高い日本から配信された臨床試験ですが、5‐FU療法とS‐1療法の同等性が確認されました。また、S‐1+CDDP療法はそれらを上回る結果となりましたので、今後はS‐1+CDDP療法が標準治療となっていくでしょう。
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