抗がん剤治療にかかる費用(薬剤費)

基本的に日々の業務の中での覚え書きになります。がん薬物療法における安全性や薬剤費(薬価)の概算などを中心に記載していますが、抗がん剤治療を受けている患者さまの経済的不安の解消につながれば幸いです。

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非ホジキンリンパ腫の中で最も多いDLBCL(びまん性大細胞型B細胞リンパ腫)には、R-CHOP療法(リツキサン、エンドキサン、アドリアシン、オンコビン、プレドニン)が行われています。しかし、リツキサンは、B細胞性リンパ腫に効果を発揮する分子標的薬であるため、B細胞性以外の非ホジキンリンパ腫に対して使用することができません。そのため、T細胞性/NK細胞性非ホジキンリンパ腫に対する治療は、現在でもCHOP療法が行われています。

CHOP.jpgR-CHOP療法は、3週間おきに8コース行うのが基本です(2週間おきの場合もあります)。
同様にCHOP療法も8コース行います。


【薬剤費の計算】
今回は、身長170cm、体重60kg、体表面積1.65㎡の患者を想定し、CHOP療法にかかる薬剤費を計算してみます。

<CHOP療法>
CPA 750mg/㎡ day 1 (2週ごと)
ADM 50mg/㎡ day 1 (2週ごと)
VCR 1.4mg/㎡(最大2mg) day 1 (2週ごと)
PSL 100mg/body day 1-5 (2週ごと)

エンドキサン(CPA) 750mg/㎡×1.65㎡=1237.5mg
871円(500mg/V)×2+221円(100mg/V)×3=2,405円
アドリアシン(ADM) 50mg/㎡×1.65㎡=82.5mg
2,326円(10mg/V)×9=20,934円
オンコビン(VCR) 1.4mg/㎡×1.65㎡=2.0mg(最大)
3,252円(1mg/V)×2=6,504円
プレドニン(PSL) 100mg/body×5=500mg
9.6円(5mg/錠)×20錠=192円×5日=960円

以上より、CHOP療法1コースにかかる薬剤費は、30,803円(約3万円)で、ほとんどがアドリアシンの値段です。この薬剤のみ低価格な後発品に切り替えるなどすれば、もっと親切な治療法になるはずです。また、3割負担では、約9,000円/1コースなのでリツキサンとの併用療法でなければ、ほんとに親切な治療法です。

因みに、リツキサン1コースにかかる薬剤費は、約30万円(3割負担では約9万円)ですので、CHOP療法にリツキサンを併用する治療スケジュールになると、単純にCHOP療法の10倍の薬剤費がかかることになってしまいます。
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リツキサンは、非ホジキンリンパ腫に用いる抗がん剤で、モノクローナル抗体薬の一つです。白血球の一種であるリンパ球には、B細胞やT細胞などがあり、リツキサンはこのうち、B細胞が悪性化する非ホジキンリンパ腫に使用します。

リツキサンは非ホジキンリンパ腫の中でも、低悪性度のものに優れた効果を示してきました。当初は、低悪性度リンパ腫への投与が中心でしたが、近年、中・高悪性度の非ホジキンリンパ腫にも、大きな効果が期待できるようになり使用される頻度が増してきました。

【適応】
リツキサンCD20陽性のB細胞性非ホジキンリンパ腫

【用法及び用量】
通常成人には、1回量375mg/㎡を1週間間隔で点滴静注する。1回に治療コースの中で最大投与回数は8回とする。

【薬剤費の計算】
リツキサンは非常に高価です。毎週投与するとかなりの治療費になってしまいます。
今回は、身長170cm、体重60kg、体表面積1.65㎡の患者を想定して計算してみます。

375mg/㎡×1.65㎡=618.75mg
209,585円(500mg/V)×1+42,832円(100mg/V)×2=295,249円(約30万円

これを毎週、8週間繰り返すわけですから、2ヵ月で約240万円になります。
3割負担としても、1コースの治療で約72万円かかってしまいます。(これでもずいぶん薬価が下がりました...)

高額療養費制度を利用すれば、数ヵ月後に一定の治療費以上は戻ってきますが、毎週外来で投与する患者さんが、とりあえず現金で10万円持ってくると言っていたのも頷けます。後で払い戻されるとは言え、できれば高額療養費を現物給付化して、窓口での支払いを自己負担限度額までにとどめる手続きをしておいた方が良さそうです。

追記:リツキサンが、他の抗がん剤と組み合わせて治療を行うR-CHOP療法は、悪性リンパ腫の標準治療になりつつあります。



悪性リンパ腫は、リンパ球(B細胞、T細胞、NK細胞)に由来する悪性腫瘍で、リンパ節が腫れ、腫瘤ができ、ホジキンリンパ腫(HL)と非ホジキンリンパ腫(NHL)に大別されます。ホジキンリンパ腫はリンパ節で発病することが多いのですが、全身のあらゆる臓器に発生する可能性があります。

病気が治癒する可能性(予後)や治療法は病期、腫脹しているリンパ節の大きさ、症状の種類、年齢、性別などによって異なります。ホジキンリンパ腫に対する有効な治療法には放射線療法と化学療法があります。他のがんに比べて、ホジキンリンパ腫は放射線療法や化学療法がよく効くがんであることが分かっています。

限局期(Ⅰ期~Ⅱ期)
標準的な化学療法としてアドリアマイシン、ブレオマイシン、ビンブラスチン、ダカルバジンによる併用療法(ABVD療法)を4コース行った後に放射線療法を追加します。

進行期(Ⅲ期~Ⅳ期)
標準的な化学療法は、アドリアマイシン、ブレオマイシン、ビンブラスチン、ダカルバジンによる併用療法(ABVD療法)です。1コースに2回(1日目と15日目)投与し、4週毎に6~8コース行われます。症状によっては、化学療法終了後に放射線療法を追加することもあります。


<ABVD療法>
ADR 25mg/㎡ day 1、15 (4週ごと)
BLM 10mg/㎡(最大15mg) day 1、15 (4週ごと)
VLB 6mg/㎡(最大10mg) day 1、15 (4週ごと)
DTIC 375mg/㎡ day 1、15 (4週ごと)

【薬剤費の計算】
今回は、身長170cm、体重60kg、体表面積1.65㎡の患者を想定して計算してみます。

アドリアシン(ADR) 25mg/㎡×1.65㎡=41.25mg
2,326円(10mg/V)×5=11,630円
ブレオ(BLM) 10mg/㎡×1.65㎡=16.5mg→最大15mg
1,979(5mg/V)×3=5,937円
エクザール(VLB) 6mg/㎡×1.65㎡=9.9mg
3,274円(10mg/V)×1=3,274円
ダカルバジン(DTIC) 375mg/㎡×1.65㎡=618.75mg
4,365円(100mg/V)×7=30,555円

よって、ABVD療法1回にかかる薬剤費は、51,396円(約5万円)です。
これを1コースに2回、限局期だと4コース、進行期だと8コース行うわけですから、
ABVD.jpg限局期:51,369円×2×4コース=411,168円(約40万円
進行期:51,369円×2×8コース=822,336円(約80万円
になります。

健康保険適応で3割負担として計算すると、限局期は約12万円(4ヵ月)、進行期は約24万円(8ヵ月)になります。
冒頭にも記したとおり、ホジキン病は治癒する可能性が高いので、経済的な負担もあると思いますが、積極的にお勧めできる治療法と考えています。
悪性リンパ腫には、ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫がありますが、悪性リンパ腫の9割が非ホジキンリンパ腫で、さらにその6割がB細胞性非ホジキンリンパ腫であるといわれています。この非ホジキンリンパ腫は、進行の早さによって、低悪性度(年単位で進行)、中悪性度(月単位で進行)、高悪性度(週単位で進行)に分類され、トレアキシン(ベンダムスチン)の適応は、化学療法が奏功しにくいとされてきた「低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫」になっています。

また、もう一つの適応である「マントル細胞リンパ腫」も、B細胞性非ホジキンリンパ腫の一種で、比較的頻度の低い病型ですが、悪性リンパ腫の中で最も難治性が高いものの一つと考えられています。

【適応】
再発又は難治性の低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫ならびにマントル細胞リンパ腫

【用法及び用量】
通常、成人には、ベンダムスチン塩酸塩として120mg/㎡(体表面積)を1日1回1時間かけて点滴静注する。投与を2日間連日行い、19日間休薬する。これを1サイクルとして、投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。

トレアキシン【薬剤費の計算】
トレアキシン点滴静注用100mgの薬価は、92,356円/1瓶になりました。
今回は、身長170cm、体重60kg、体表面積1.65㎡の患者を想定して計算します。

→ 120mg/㎡×1.65㎡=198mg
→ 92,356円×2瓶=184,712円 
→ 184,712円×2日間=369,424円

よって、1サイクルで約37万円、3割負担で11万円です。
ほとんどの方が1回2瓶になると思いますが、やや大柄の方ですと3瓶必要になるかもしれません。その時は薬剤費を1.5倍してください。
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